営業の結果を大きく左右するクロージングですが、クロージングの仕方で結果は大きく変わります。
「説明は上手なのに契約が上がらない」
という営業マンはクロージングに問題があるケースがほとんどです。
今回は、営業マンなら最低限知っておきたいクロージングでのテクニックをご紹介します。
1.営業におけるクロージングとは?
そもそも営業におけるクロージングとは、契約に至る最終プロセスの部分です。
お客様に意思決定してもらい、契約を成立させる
という部分がクロージングにあたります。
クロージングのタイミング
「どういうタイミングでクロージングに入ればいいんですか?」
という質問をいただくこともありますが、これは各営業マンの感覚値によります。
ぼくの場合は、
お客様のやる気がある程度固まってきた
というタイミングが多いです。
一番ベストなのは
お客様が契約を決断して断る理由が見当たらなくなった
と感じたら十分なクロージングのタイミングです。
このタイミングを逃すと間延びしてやる気が下がっていきます。
テストクロージングでお客様の意思確認
どうやってお客様のやる気、契約する意思確認をするのかは、営業経験が長くなれば雰囲気を感覚で掴んでいきます。
- 経験が浅い
- イマイチ感覚がつかめない
- 最近契約が上がってない
という3つの条件を満たす方におすすめなのは、テストクロージングをしてみることです。
簡単なやり方としては、
「契約する前提で少し詰めた内容の話をして反応を見る」
という方法が一般的です。
これは推定承諾法や二者択一法を使うことでいろんなパターンでのテストクロージングが可能です。
料金提示は一番最後が基本
クロージングというと料金交渉のことだと思っている営業マンも多いのですが、ハッキリ言ってそのままだと営業成績を上げ続けるのは難しくなります。
クロージング前に、ある程度お客様の予算感を把握して断る理由を解消しておく必要があります。
少なくとも最低限お客様の契約する意志を整えてから料金提示をすることで交渉の余地が出てきます。
あくまでもクロージングというのは営業の締めくくりの部分であって、そこまでの営業アプローチができていない場合はクロージングに入らないことです。
ジャパネットたかたのテレビショッピングを見たことがある方は思い出していただきたいのですが、基本的に料金提示は最後です。
お客様が少しでも
(あ、欲しいかも、いいなー)
と思ってから価格提示をしなければ営業マンが訪問する意味がありません。
2.営業のクロージングに使えるテクニック
では具体的にどんなテクニックがあるのかを例を上げて説明していきます。
(1) 二者択一法
「どれがいいですか?」
「どうしますか?」
と聞くのではなく、
「AとBならどっちがいいですか?」
という質問をすることで選択肢を二つに絞りこむ方法です。
アポイントでもよく使われますが、クロージング前のテストクロージングなどでは有効に使えれば武器になります。
クロージングの段階では契約するかしないかの二択ではなく、契約する前提での二択をお客様に提示すします。
「契約しますか?しませんか?」
という二者択一だとお客様としては決断を迫られてしまうので、悩んでいる場合は
(いや、ちょっと考えたいんだけど…せかされるとなぁ)
と気持ちが離れてしまいます。
そこで二者択一法を使った場合は、
という質問をしていきます。
そうすることで実際に契約後のイメージも湧いてきますし、意志を固めていくことも出来ます。
(2) 推定承諾法
推定承諾法は相手が承諾している前提で話を進める方法です。
テストクロージングで推定承諾法を使うことでお客様の反応を確認していきます。
という風に、あくまでもお客様が契約をすることを前提として話を進めるテクニックです。
テストクロージングは推定承諾法でどの程度まで詳細を詰めていけるかでお客様の契約する意志確認をしていきます。
推定承諾法と二者択一法を合わせて使う
テストクロージングに有効なトークとして、推定承諾法と二者択一法を組み合わせて使うことでより具体的なイメージをお客様に作っていくことも可能です。
テストクロージングでイマイチお客様がやる気なのかが見えないという場合は、より具体的に詰めた質問をすることで反応を見ます。
こういった質問に対して、
「そうだねー、それなら今月中の方がいいかな。」
などの回答があれば十分見込がありますし、
「いや、まだそこまで具体的には…」
という回答であればまだまだ料金提示やクロージングの段階ではありません。
クロージングに入らず、懸念している部分がどこにあるのかを把握して解消していく必要があります。
(3) 結果指摘法
結果指摘法というのは、契約した場合としなかった場合の結果がどう違うのかを具体的に伝えていく手法です。
営業のクロージングは契約した時のメリットだけを話しがちですが、契約しなかった場合はどうなるのかをデメリットとして伝えていくことでその違いを具体的にイメージしてもらいます。
もちろん結果指摘法を使ったトークをする場合は、理論建ててしっかり裏付けも同時にお客様に伝えられなければ意味がありませんので要注意です。
(4) バンドワゴン効果
これもテストクロージングやクロージングでよく使われる方法です。
バンドワゴン効果というのは、
「みんなやってるから安心」
「一番売れてるから大丈夫」
という集団心理をついたマーケティングでよく使われるテクニックです。
営業に限らずよく使われるテクニックですが、対面営業でも十分有効です。
自分だけじゃないという安心感と、あの人もやってるなら自分もという焦燥感を感じられるようなトークになればベストです。
(5) 第三者話法
第三者話法もバンドワゴン効果に近いですが、営業マンの言葉だけでは信用しきれなくても、お客様が知っている人や営業マン以外の言葉であればトークに信頼が増します。
単純に営業マンが
「このサービスは導入すると◯%経費が削減できて~」
と話すよりは、
という方が信ぴょう性も高まります。
(6) 話題転換
話題転換というのは言葉のままですが、
- クロージングしてもお客様が悩んでなかなか先に進められない
- 断られそうな流れになってきてこのまま営業を進めても良くなさそう
- プッシュしすぎて会話がネガティブな方に流れている
という時に思った以上に有効なテクニックです。
これはクロージングの真っただ中で、契約してくれそうなのに料金交渉しても駆け引きをしてもお客様も一向に首を縦に振ってくれないという時に一旦会話を全く関係のないところに持っていきます。
クロージング中の話題転換をする場合のポイント
- 営業するサービスや商品に全く関係ない話題に転換する
- お客様にとって興味のある、関連のある話題を選ぶ
クロージング中の話題転換はこの二つの条件を満たすような話題を選ぶことです。
話題転換の狙いは、緊張した空気を変えて話しを戻した時に
「もう◯◯さんにお願いするよ」
と言ってもらうことが目的です。
あなたが営業する商材に関連したことであれば営業トークとしてとらえられるので緊張感はとれません。
さらに、話題転換したことでマイナスな方向に進むことはなるべく避けるべきです。
そして話題転換したにも関わらず場が和まないと意味がありませんので、クロージング前までにお客様がどういう方なのか、どういう話題に興味を持ってもらえるかを把握しておく必要があります。
実際に話題転換して和やかな雰囲気になってきた時に
「そういえば◯◯の件、もう考えてもしかたないからお願いするよ」
と言っていただけたことが何度もあります。
話題転換をする時の注意点
クロージング中に話題転換をする時に一番気をつけなくてはならないのが
お客様に時間の余裕があるのか?
という部分です。
時間のないお客様に話題転換すると
「じゃ検討しとくよー」
という結果になってしまいがちです。
話題転換はあくまでも前向きに悩んでいるお客様で時間の余裕がまだある場合に使いましょう。
(7) フット・イン・ザ・ドア
イエスの法則にも似ていますが、
受け入れてもらいやすいことから徐々にイエスをもらって断りにくくする
という方法です。
契約の条件提示をする場合は、お客様に取って受け入れやすい条件から一つずつ受け入れてもらうようにクロージングを進めて行きます。
例えばスーパーの試食コーナーもフット・イン・ザ・ドアのテクニックの一つです。
「無料なので試食いかがですか?」
「おいしいでしょ?」
「おいしいです」
「お一ついかがですか?」
「じゃ一つもらいます」
という試食だから食べてしまったが故に断りづらくなったという経験は誰しもあるかと思います。
(8) ドア・イン・ザ・フェイス
これは料金交渉や条件交渉でもよく使われるテクニックです。
最初に難しい要求をして断られたら条件を下げて受け入れてもらう
最初にお客様の想定している予算や条件よりも少し上の提示をしてみて、
「うーん、思ったよりもちょっと高いかな」
「そうでしたか、ちなみにどのくらいを想定されてました?」
「◯◯円くらいならいいかなーと思ったんだけど…」
「なるほど、ちなみにそのくらいの価格だったらご契約いただけたということですか?」
「そうだね〜」
「ちょっと◯◯円は難しいんですが、本日決めていただけるのであれば上司に交渉してみます」
といった駆け引きは営業の現場ではよくあります。
ただ、最初に提示する要求がお客様の想定とかけ離れた条件や価格だと逆効果になってしまうので注意が必要です。
(9) 沈黙
これはクロージングのテクニックの中でも勇気のいる手法ですが、実はかなり有効なクロージングテクニックです。
多くの営業マンはお客様との間に無言の空間が続くことに恐怖を覚えます。
その恐怖を振り払うためにあれやこれやのセールストークを矢継ぎ早にしゃべりがちです。
でも、真剣に悩んでいるお客様の場合は、真剣に考える時間、頭を整理する時間が必要です。
例えばぼくの場合、洋服を買いに行った時に
(あー、ちょっと一人でじっくり選びたいから店員さん少しほっといてくれないかな)
という経験が何度もあります。
よかれと思ってメリットをどんどん伝えたり、背中を押さなければ!と間をあけることを恐れては、お客様が決断する時間を奪ってしまうことにもなります。
クロージングであともう一歩という時には3分くらいは沈黙の時間を作ることも有効です。
(10) 背中を押す
沈黙とは真逆ですが、営業のクロージングは
お客様に契約を決断してもらう
というのが基本です。
契約率、即決率の上がらない営業マンのほとんどは「やる」「やらない」をお客様に委ねてしまっているケースがほとんどです。
もちろん理想はお客様から「ぜひ契約してくれ」と言ってもらえることです。
ただ、「あと一歩プッシュしていれば契約になる」という手前で営業マンから引いていることの方が多いのです。
「うちにはまだ早いかな〜」
「そうですよね、では時期を見てまた」
なんていう営業マンは考え方を改めて下さい。
あくまでも営業という仕事は『売る』ことが仕事です。
買う、買わないを判断するのはお客様ですので、営業マンから引く必要は一切ありません。
「うちにはまだ早いかな〜」
「そうですか、ちなみにいつ頃であれば一番いいタイミングですか?」
「そうだね、半年くらいは時間欲しいかな」
「そうですか、半年先ですね。では例えば半年後にご契約いただいた場合は◯◯となってしまいます〜」
といった形で半年先延ばしにすることでのデメリットや今決めることでのメリットを伝えることができます。
背中を押すための材料を探しながらやる決断をしてもらえる様に会話をしていくことがクロージングです。
まとめ
今回はクロージングという部分に焦点をあてていくつかのセールステクニックをご紹介しました。
もちろん今回のことが全てではありませんし、他にもいろいろなテクニックがあります。
営業のクロージングが上手になれば、お客様との商談や営業という仕事はより楽しくなります。
まずは一つずつ実践しながら身につけていきましょう。