営業という仕事をやるにあたってはいろんな本や映画が参考になります。
そんな中でもダントツにおすすめなのが「てんびんの詩 第一部」。
イエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏が制作・企画・資金提供を手がけた近江商人の物語です。
営業職に限らず、商売・ビジネスに関わる方なら見ておくべき映画です。
てんびんの詩 第一部のあらすじ
公式サイトからの抜粋になります。
その日、主人公・近藤大作は小学校を卒業した。
近江の大きな商家に生まれた彼は、何不自由なく育ち、今日の日を迎えていた。
そんな彼に、父は祝いの言葉と共に一つの小さな包みを手渡す。中には鍋の蓋が入っていた。
彼には意味がわからない。
だが、その何の変哲もない鍋蓋が大作の将来を決めることになる。
父はそれを売ってこいというのだ。売ってこなければ、跡継ぎにはできないという。しかたなく、大作は鍋蓋を売りに歩く。
まず店に出入りする人々に押し売りのようにしてすすめる。
だが、そんな商いがうまくいくはずもない。
道ゆく人に突然声をかけても、まったく見向きもされない。親を恨み、買わない人々を憎む大作。
父が茶断ちをし、母が心で泣き、見守る人々が彼よりもつらい思いをしていることを彼は知らない。
その旅は、近江商人の商いの魂を模索する旅だったのだ。
行商人のようにもみ手をし卑屈な商いをしても、乞食をまねて泣き落としをしても、誰も彼の鍋蓋を買うものはいない。
いつしか大作の目には涙があふれていた。そんなある日、農家の井戸の洗い場に浮かんでいる鍋をぼんやりと見つめながら、疲れ切った頭で彼は考える。
〈鍋蓋がなくなったら困るやろな。困ったら買うてくれるかもしれん〉。
しかし、次の瞬間には
〈この鍋蓋も誰かが難儀して売ったものかもしれん〉。
無意識のうちに彼は鍋蓋を手に取り洗いはじめていた。不審に思った女は尋ねる、なぜ、そんなことをしているのかと。
大作は、その場に手をついて謝る。
「堪忍して下さい。わし悪いやつです。売れんかったんやないんです。物を売る気持ちもできてなかったんです。」女は彼の涙をぬぐいながら、その鍋蓋を売ってくれというのだった。
てんびんの詩 第一部の感想
ひょんなことから「てんびんの詩」の存在を知りました。
ひと言で言えば、「もっと早くに見ておきたかった」というのが本音です。
ただ、10年営業を続けてきたからこそ感動出来る、共感出来る部分も多いのではないかと思います。
営業は「モノやサービスを売る」というのは基本ですが、それ以上に「自分を売る」「ストーリーを売る」とも言われます。
営業の経験が浅いうちは「自分を売れ」「ストーリーを売れ」と言われても正直ピンときません。
最近では
「根性論や精神論は時代遅れ」
「欲しい人を見つけて適切な説明を出来れば売れる」
という意見が多いのですが(ぼくも半分はそう思います)、人と人が対面しての営業というのはそんなに単純ではありません。
辛い経験の中からしか学べないこともたくさんあります。
ぼくも営業という仕事を経験していく中で
(こういう時にお客様は契約をしてくださるんだなぁ)
ということが何度もありました。
特に「うちは全くいらないよ」と言っていたお客様が最終的に契約をしてくれた時はただ単にその商品やサービスが欲しかったからというものではありません。
てんびんの詩は、大手企業や営業会社での新人研修の教材としてもよく使われたりもしているようです。
実際に営業や商売に携わった方なら共感出来ることも多いので、まずは管理職、マネージャークラスの方がご覧になることをおすすめします。
てんびんの詩 DVDの注意点
画質・音声とも古い
30年以上も前に制作された映画なので当然ですが、画質も音声もかなり古いものです。
もともとVHSだったものをDVDに焼いたような感じは否めません。
公式サイト以外で購入出来ない
どうしても見たいと思ったぼくはインターネット上でいろいろ探しました。
Amazon、ヤフオク、楽天・・・
ヤフオクではたまーにVHSが出品されていたりしますが、公式サイト以外では販売しているところは見つけられませんでした。
なぜ公式サイト以外を探したかというと、なにせ高価・・・
てんびんの詩 第一部〜第三部セット 66,960円
というなかなか手が出ない価格です。
これ、会社の研修で見られる人はうらやましいな〜と思ってしまいました。
ぼくは第一部 原点編だけを購入してみましたが、十分勉強になりました。
何度も見返したいと思っています。
新人研修に長い時間を使える会社であれば三部までのセットが良いかと思いますが、第一部だけでも90分ありますし、内容としては完結しているのでまったく問題ないです。
まとめ
商売、起業、営業に関わる方にはぜひ見ていただきたい映画です。
高いのですがそれ以上の価値があります。
約3万円。
その3万円で研修を行うのであれば一人当たりにかけるコストは10人で、一人3000円です。
飲み会に連れて行くより有意義な時間になることは間違いありません。